エミル・クロニクル・オンラインと僕の 12 年

2017 年 8 月 31 日、エミル・クロニクル・オンライン(以下 ECO)が 12 年の歴史に幕を下ろした。サービス終了時のチャット欄には「ありがとう」の文字が大量に流れてきて、終了に際してこれだけ「ありがとう」と言われるオンラインゲームもそうそうないんじゃないかと思った。僕はそれを見ながらひとりで泣いていた。

僕が ECO を知ったのは 4Gamer.net で制作発表の記事を見たのが最初だったと思う。羽々キロ氏のかわいらしいイラストと、ハートフルオンライン RPG というコンセプト(これはややあと付けだったような記憶がある)に一瞬で心を惹かれた。

ほどなくしてクローズドベータが始まった。今よりもずっと狭い世界だったけれど、知り合いは誰もおらず、本当に右も左もわからないなかユーザーが一丸となって手探りで世界を広げていく感覚に虜になった。

デスペナルティがないことを利用して長官室と大陸 D を何度も往復したことや、徒党を組んで氷結 D にメイド服を買いに行ったこと、死体倉庫に毛皮を詰め込んで持ち帰ったことを昨日のことのように鮮明に覚えている。東アクロニア平原はオープンチャットで憑依相手を探す冒険者や、ゲームのヒントを教え合う者で常に活気に溢れていた。

僕にとって ECO は初めてのオンラインゲームだったのだけれど、ひなさんという冒険者(オンラインゲームのベテランっぽい雰囲気があった)に良くしてもらったことがとても嬉しくて、こういうひとがいる世界ならやっていけそうだと思うきっかけになった。正式サービス開始後にひなさんと再会できなかったのは今でも心残りだ。

クローズドベータは期間を分けて合計 10 日間しかなかったのだけれど、この 10 日間のできごとが 12 年の付き合いに発展するとは当時は思いもしなかった。

正式サービス開始後は仲間を誘って少人数のリングを結成し、あちこち冒険に行った。基本的に ECO のダンジョンやイベントはダルいんだけど、リングメンバーと一緒にやっているときは何でも楽しかった。12 年のうち 10 年くらいやっていたような気がする遺跡荒しも苦じゃなか…いや、苦だったな…。

転機が訪れたのは SAGA8 だった。もともとハートフルな世界観に惹かれて始めたこともあって、騎士団演習やフィールド PvP が実装されたときに初めて心が離れた。続いて実装された DEM も僕の趣味とは合わず、その後の三次職転生や、110 武器の入手に大きく手間取ることになった。奈落が実装される頃には完全に取り返しがつかない状態になっており、飛空城を維持するだけで精一杯になっていた。

それでもログインすればいつものアクロニアがあって、いつものリングメンバーがいて、だいたいのことは不自由なくできる環境があった。別のオンラインゲームやソーシャルゲームにもたくさん手を出したけど、最後に帰るところは ECO だった。ずっとそこにあるのが当然だと思っていた。

そんな僕が、サービスが終了するからといって感傷に浸る資格はないのかもしれない。僕がもっとログインしていれば、課金していれば、僕の大好きな世界はなくならなかったのかもしれないなんてことを思ったりもする。そんな単純な話ではないことはわかっていても。

5 月にサービス終了が発表されてからは、なるべくそのことを直視しないようにしてきたが、さすがに最期くらいは看取ろうと思い久しぶりにログインしたところでだめになってしまった。キャラクターセレクト画面を見ただけで自然と涙があふれてきた。この子たちにもう二度と会えなくなるという現実が一気に押し寄せてきた。

やり残したことだらけのなかから、せめてメインストーリーは最後まで見届けようと思い、最後の一週間は寝食を忘れて ECO の世界を貪った。しかし何度挑戦してもラスボスのハスターが攻略できず、これが積み上げてこなかったものの差だと思った。そんなに都合良くはいかないのだと言い聞かせて諦めようと思った。そんな自分を救ってくれたのはやはりリングメンバーだった。一緒になってステータスを見直し、装備を強化し、戦術を練ってくれた。

ハスターを倒したあとの NPC たちの会話は、まるで運営からユーザーへ向けた手向けの言葉のようで、感極まって泣いてしまった。

そして迎えたサービス終了の瞬間は、前述のとおりだ。

サービス終了から一週間が経ったが、今でも ECO のことを思い出すだけで涙があふれて止まらなくなるし、この文章も顔をぐしゃぐしゃにしながら書いている。

僕の人生で最初で最後のオンラインゲームが ECO で良かったと心の底から思う。リングメンバー、フリージアサーバーの名前も知らない冒険者ツイッターで仲良くしてくれたひと、運営スタッフ、すべての ECO 関係者に僕からも「ありがとう」。