楽天の携帯電話事業参入計画を過去の事例を参考に見てみる

楽天が携帯電話事業に参入することが正式に決定しましたが、2025 年までの予算が 6,000 億円しかないことが話題になっています。

既存事業者の設備投資額が単年でドコモが 6,000 億円、KDDI が 5,300 億円、ソフトバンクが 4,000 億円程度であることを考えるとたしかに少ないです。すべてを新規に作らなくてはいけないことを考えるとなおさらです。

果たしてこの計画が可能なのか、特に一番費用がかかると思われる基地局に関して過去の事例を参考に見ていきます。

楽天の計画

楽天の計画をおさらいします。(出典:総務省|第4世代移動通信システムの普及のための特定基地局の開設計画の認定について

総務省の資料から楽天のところを抜き出すと以下のようになっています。

割当周波数 1.7GHz帯
基地局 27,397局
人口カバー率 96%
予算※ 6,300億円

※このうち基地局整備に充てられるのは 3,000+800 億円です。(出展:楽天、2019年末の“携帯参入”構想「6000億円で全国カバーできる」 - ケータイ Watch

基地局 27,000 局に屋内基地局が含まれるのかはわかりませんが、屋内基地局フェムトセル基地局数にカウントしないのが慣例のようなので、屋外基地局を 27,000 局設置する仮定で考えることにします。

人口カバー率についてはソフトバンクが SoftBank 4G LTE で人口カバー率 91% を達成したときの基地局数が 21,000 くらいだったというデータがありますが、現在とは算出方法が異なりますし、基地局数から人口カバー率を求めることは難しいので、まあ参考程度に。

過去の事例

事例1:ソフトバンク

ソフトバンクが 2012 年に 900MHz 帯を開設したとき 42,132 基地局を 2,123 億円で作っています。(出展:総務省|3.9世代移動通信システムの普及のための特定基地局の開設計画の認定に係る審査概要〜945MHzを超え960MHz以下の周波数を使用する特定基地局〜

単純に割ると基地局ひとつあたり 500 万円程度で作った計算になります。

事例2:奈良県

2012 年に行われた総務省の携帯電話等エリア整備事業では 600 万円から 700 万円くらいで基地局を整備したようです。(出展:http://www.soumu.go.jp/soutsu/kinki/new/2012/0927_01.html

事例3:熊本県

2017 年、熊本県天草市にドコモの基地局を整備したときは鉄塔に 1,000 万円、伝送路整備に 1,000 万円、装置に 200 万円で合計 2,200 万円かかったようです。(出展:装置鉄塔伝送路

参考

地盤の弱いところに鉄塔を建てたりするとドカンと値上がりするようで 5,000 万円くらいかかる場合もあるらしいですが、だいたいの場合は 1,000 〜 2,000 万円の範囲内に収まるようです。(出展:総務省|携帯電話の基地局整備の在り方について〜論点整理〜

前述の事例と照らし合わせると妥当な金額という感じがします。また、鉄塔ではなくコンクリート柱を利用することで費用を抑えることが可能なようです(ただし高さが確保できない)。

最近ドコモが開発したマンホール型の基地局は 1,000 万円弱だそうです。

楽天はどうするのか

楽天は鉄塔を各地域の電力会社から借りると発表していますが、例えば東京電力の貸出料金は一本あたり年額 1,200 円だそうです。(ほんとか?)
基地局を設置するのにかかる費用の大部分は鉄塔の建設費と装置の工事費のようなので、鉄塔にかかる費用をこれだけ圧縮できるのだとすればすごいです。ただし、東京電力が貸し出せる物件は昨年末の時点で 1,000 件程度しかないようですが…。

以上を考慮し、鉄塔のレンタルにかかる費用は無視して 200 万円の基地局装置を計画通り 27,000 箇所に設置しそれぞれの工事に 1,000 万円かかるとすると合計で 3,240 億円という数字が出ます。オッ!楽天の見積もりとほぼ合致しました。一括発注による値引きや、スモールセル基地局を活用すれば 3,000 億円に収まりそうです。

いろいろ数字や前提が間違ってそうな気もしますが、少なくとも基地局に関しては実現できそうという気がしてきたので、サービスインを首を長くして待ちたいと思います。