とても良いサイエンス・フィクションで、ボーイ・ミーツ・ガールで、ジュブナイルでした。ロミオとジュリエットより壁は厚いけれど、天空の城ラピュタほど壮大ではないくらいの味付けです。この手のものが好きなひとにはドハマりすると思います(しました)。
女の子は空へ落ちていく
設定を楽しむタイプのアニメなので、あまり難しいことは考えない方がいいです。普通に考えたらエイジとパテマは何回か死んでます。
イメージビジュアルの逆さまに抱き合うエイジとパテマよろしく、サカサマだから描ける絵だけを詰め込みましたという感じなので、なぜそうなるかの説明やサブキャラクターの掘り下げなどは最小限しかありません。ひとつだけ確かなのは「手を話したら、彼女は空に落ちていく」ということ。それだけでいいじゃないか、それだけでワクワクするじゃないか。そんな潔さが全体を支配していてむしろ好印象です。
しかし本編で掘り下げられなかった部分にもきちんとバックボーンはあるらしく、公式設定資料集にはそれらが載っているそうなので大至急アマゾンに発注しました。届くのが楽しみです。
映画館で観る価値がある
エイジ側の視点とパテマ側の視点とで天地がグルグル反転するので方向感覚を失いそうになります。物語の後半ではさらに別の視点も加わり、これでもかというくらいサカサマの楽しさを味わえます。映画を見終わって、映画館から出て空を見上げたときに「あれっ?」という感覚になりました。
「時をかける少女」を映画館で観なかったことを未だに後悔している僕としては、この「サカサマのパテマ」は映画館で観られてよかったなあと思うわけですが、3 週目にして既にスクリーン数が激減しているようです…。
観に行くならお早めに。11月27日には新宿でトークショーも行われるようです。