劇場アニメ『AURA 〜魔竜院光牙最後の闘い〜』を観てきた

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原作小説は商業エンタメで初めて中二病を扱った元祖中二病みたいな位置付けの作品ですが、なにも後発作品がこぞって映像化されてるこのタイミングで引っ張りだしてこなくても…という気がしなくもなくもない感じでしたが予告がいい感じだったので観てきました。

中二病だけど恋がしたいわけではない

中二病を隠そうともしない少女・佐藤良子に、すでに中二病を卒業した少年・佐藤一郎が振り回されるという基本ラインは中二病でも恋がしたい!などでも踏襲される王道中二病ストーリーですが、決定的に違うのは恋に救いを求めていないところです。中二病作品は「中二病」というポップなオブラートで包んでいるものの、背景にはいじめや家庭崩壊、自殺未遂といった負の要素があるわけで、それ恋だけで片付けてしまうことの方が違和感があります。このあたり田中ロミオらしいですね。

いわゆる「リア充」で「いじめっこ」という明確な悪役も出てきますが、彼らの言い分ももっともで、最終的にそこらへんとの折り合いは付かずに幕引きとなるので果たしてこれがハッピーエンドなのか判断は難しいです。けれど、そうやって問題を棚上げにすることでしか前に進めないこともある、という結論でいいんじゃないかなと僕は思います。

「語り」が多いアニメの宿命

文章回しで魅せる小説を映像化する際の宿命だと思うのですが、AURA においてもご多分に漏れず絵面が単調で非常に退屈でした。屋上神殿での盛り上がり所もスピード感がなくてイマイチでした。化物語がたまたま新房シャフトの特殊な作風とマッチしたミラクルだったということを再確認させられます。

また、それとは別に絵の品質が低く、とりわけ序盤(一郎が腕時計を買うあたりまで)は「これは修正されるだろうな~」と思いながら観ていました。

まとめ

田中ロミオファン、花澤香菜ファン、あるいはなんでもいいから AURA を映像付きでみたいひとは早急に観に行きましょう。すぐに終わりそうな雰囲気がします。それ以外の、アニメとしての娯楽を求めているひとはパッケージ待ちでいいと思います。

それはそうと、予告に使われ CM でも流れまくっている「Blue Moon Dream」が劇中で一度も流れないというのはとても良い詐欺だと思いました。

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完全に騙されました。これを屋上神殿のシーンで使えよ。